伝統韓屋と現代建築の調和
ソウル韓方振興センターのあるソウル薬令市は、朝鮮時代(1392~1910)により所のない貧しい百姓の面倒を見て、薬を提供していた救護機関の普済院があった由緒深い場所です。現在、ここは韓国で取り引きされる韓方薬材の7割を流通する薬材専門市場で、韓方医院や韓方薬局など約1千軒の韓方関連店舗が集まった韓方テーマタウンになっています。韓方文化の中心といえる場所に建てられたソウル韓方振興センターは、様々な展示や教育、体験を通じて伝統韓方医学の優秀性と安全性を広めるための韓方複合文化施設です。
建築士事務所UNPの代表建築家の柳栄模(リュ・ヨンモ)は、センターの設計コンセプトに対するインタビューで「現代建築のシンプルさと韓国らしい気品が調和できるように工夫した」と語っています。建築家の言葉通り、センターは灰黒色レンガの塼で仕上げた現代建築物の上に、気品が感じられる韓国の伝統家屋「韓屋」をそのままのせた形になりました。コンクリート構造と木構造、ガラス張りのカーテンウォールと伝統の木製障子、屋根スラブと瓦屋根など、それぞれ違う時代の建築的な組み合わせが違和感なく一軒の建物として調和しています。また、韓屋の全体的形態だけでなく、その中心空間であるマダン(庭)のコンセプトが現代建築物の至る所に取り入れられていて、訪問客はまず地上にある中央マダンを通って外部階段から上階に移動し、2階のマダンと繋がった伝統韓屋の趣が感じられるヌマル(高床の縁側)で菊の花やドクダミなどの薬材が入ったお湯に足をつけ、広々とした景観を眺めながら疲れた心と体を癒せます。
他にも、約300種の各種薬材とその効能を見比べて韓方医学への理解を広める韓医薬博物館、韓方天然シートマスクやハーブ温湿布などが体験できる韓方体験室、韓方薬材を使った健康レシピで体にいい料理を自分で作ってみる薬膳飲食体験館など、センター内の施設を利用して韓方に関する様々な体験が可能です。